くじらのコラム

お弓とセミ(その三)

更新日:2017/04/01

補神堕竃神社で1月の第二日曜日に開催されるお弓神事は、今では「背美まつり」と呼ばれるのが一般的なようです。的に取り付けられる三体のセミはもち米の稲葉で作られていて、近隣で開催されるどのお弓神事に登場するものよりも大きく立派です。セミには大きさが違う2種類があります。

二体のセミはもう一体のセミに比べてやや小さくなっています。三体は的に聞けられた三つの穴に差し込まれており、小さい二体のセミにはそれぞれ二匹の秋万魚の丸干しが麓縄で結ぼれています。

的の中央に開けられた穴からは、的の裏に貼られた半紙の上に書かれた「鬼」の字が見えます。神職がその鬼の字をめがけて矢を射ると、白装束に赤、育、黄の帯を締めた「せみこ」と呼ばれる三人の少年が的に駆け寄り、的から引
き強いたセミを抱えて駆け出します。向かった先は区民会館でした。以前は青年倶楽部(青年会館)にセミを持ち込んだようです。

他所と同様に、かつて人々は的を引きちぎって持ち帰り、玄関あたりに差しておいたそうですが、今ではその光景は見られません。三体のセミはそれぞれ大皿の上に置かれて、直会の宴席の上座に近い場所に、真鯛の刺身、ムツの煮
付け、そして茄でた伊勢海老と一緒に並べられていました。詳細は良く分かりませんが、セミが幸いのシンボルとして扱われていることは碑かなようです。